相続法の解説 民法885条 相続財産に関する費用

相続法の解説 第4回

第八百八十五条 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。
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相続開始後から遺産分割までの間に生じ相続財産についての費用について、相続財産が負担するとしています。

なお、相続開始前の費用は、そもそも相続財産(相続債務)ですので、この条文を適用する必要はありません。

相続財産についての費用というと、典型的には、管理する為の費用(固定資産税や、家賃、火災保険料、光熱費等)、精算費用が考えられます。

もっとも、こういった不動産に関する費用は、相続人の一人が、被相続人と一緒に住んできたという場合は、その相続人の負担とするべきというケースもあります。

なお、相続税は相続した方が負担するのであって、相続財産に関する費用≒管理費用等には当たりません。

最も一般的に関心事であろう葬儀費用がこれに当たるかですが、これについては、判断が分かれています。
条文から素直な理解とすると、葬儀費用は、葬儀を執り行った喪主が負担するもので、相続財産そのものとは無関係に読めます。
しかし、相続人の間での公平を考えると、条文の文言からは読みにくいですが、これに含めるという考え方もあります。

「相続人の過失」
一部の相続人の余計な管理等によって、余分な費用がかかった場合は、過失のある相続人が負担するべきとされています。